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Japanische Klassiker mit Furigana

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すみだがわ

すみだ川・新橋夜話 他一篇

永井 荷風

Lesen Sie すみだ川・新橋夜話 他一篇 (すみだがわ) von 永井 荷風 (ながいかふう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 44.378 Zeichen · 88 Bildschirme

Aozora Bunko

苔の生えた鱗葺きの屋根、腐った土台、傾いた柱、汚れた板目、干してある襤褸や襁褓や、並べてある駄菓子や荒物など、陰鬱な小家は不規則に限りもなく引きつづいて、その間に時々驚くほど大きな門構の見えるのは尽く製造場であった。瓦屋根の高く聳えているのは古寺であった。古寺は大概荒れ果てて、破れた塀から裏手の乱塔場がすっかり見える。束になって倒れた卒塔婆と共に青苔の斑点に蔽われた墓石は、岸という限界さえ崩れてしまった水溜りのような古池の中へ、幾個となくのめり込んでいる。無論新しい手向の花なぞは一つも見えない。古池には早くも昼中に蛙の声が聞えて、去年のままなる枯草は水にひたされて腐っている。

長吉はふと近所の家の表札に中郷竹町と書いた町の名を読んだ。そして直様、この頃に愛読した為永春水の『梅暦』を思出した。ああ、薄命なあの恋人たちはこんな気味のわるい湿地の街に住んでいたのか。見れば物語の挿絵に似た竹垣の家もある。垣根の竹は枯れきってその根元は虫に喰われて押せば倒れそうに思われる。潜門の板屋根には痩せた柳が辛くも若芽の緑をつけた枝を垂している。冬の昼過ぎ窃かに米八が病気の丹次郎をおとずれたのもかかる佗住居の戸口であったろう。