Japanische Klassiker mit Furigana
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そのきどをとおって
その木戸を通って
山本 周五郎
Lesen Sie その木戸を通って (そのきどをとおって) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 22.448 Zeichen · 44 Bildschirme
六
彼は恥ずかしさと屈辱のために、もっと赤くなり、汗をかいた。
「これでいいだろう」三度めのときに、彼は自分で頷いた、「うん、もうこれでいい、これできれいさっぱりだ」
そのころから、彼の身のまわりのことはふさが受持つようになった。正四郎にとっても、母親のようなむらより、若いふさのほうがよかったし、ふさはまた極めて早く、彼の気ごころや好みを理解していった。あとで考えると、吉塚夫妻がそのように躾けたらしいが、彼に仕えるふさの態度は、殆んど献身的といってもいいもので、彼はまたそんなにもおれが頼りなのかと思い、いじらしいという感情が、しだいに強くなるばかりであった。
「ふさどのはよほどお育ちがよいようでございますな」と吉塚が云った、「気性もしっかりしておられるし、挙措動作も優雅で、手蹟のみごとなことはちょっと類のないくらいです」
六
吉塚夫妻だけでなく家の者たちみんなが、いつからかふさに敬称を付けるようになった、ということに、そのとき初めて正四郎は気がついた。
「あれで身許さえはっきりしていれば」と吉塚はさらに続けた、「どんな大身へ輿入れをされても、決して恥ずかしくないでしょう、まことに惜しいようなお人柄です」