Japanische Klassiker mit Furigana
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『てっぽうさへいじ』ついでにもひとつ
たそがれの人間 佐藤春夫怪異小品集【底本画像有】
佐藤 春夫
Lesen Sie たそがれの人間 佐藤春夫怪異小品集【底本画像有】 (『てっぽうさへいじ』ついでにもひとつ) von 佐藤 春夫 (さとうはるお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 23.182 Zeichen · 48 Bildschirme
とぼしてわたくしはわびしく読書をしていた。
書斎のわたくしに女中は客を取次いだ。紹介も何もない見ず知らずの人だと自ら名告るのが、わたくしにちょっと伺いたい事があるから、ここまで出てほしいと、台所口にいるのだと云う。どういう用件かと問わせてみようとすると、既にそれは聞いてみたが、あまり要領を得なかったと云う。そういう訪問者にうっかり会うと、合力を頼まれたりすることがよくある。それで客の風体などを聞いてみるが、女中の返答は更にはきはきしないが、四十がらみの実体そうな男で、警戒を要する人柄でもなさそうなことを云うが、この裏書きが第一にあまり信用もならない。
しかしあの頃は、書生かたぎで、それに第一今日ほどは物ぐさでもなかったし、ままよどんな奴が何を云って来たのか、格別、暴漢に襲われるようなおぼえも無い身ではあり、せびられたにしたところが大金もない身軽さと気まぐれな物好きも少しは手つだって、その男がいるという台所口の方へ下りて行ってみた。男は入口の前にいるらしい。
さて、まず、すりガラスの少し透明にのこっているあたりから、そっと様子を伺ってみるが、様子はよくわからない。