Japanische Klassiker mit Furigana
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『てっぽうさへいじ』ついでにもひとつ
たそがれの人間 佐藤春夫怪異小品集【底本画像有】
佐藤 春夫
Lesen Sie たそがれの人間 佐藤春夫怪異小品集【底本画像有】 (『てっぽうさへいじ』ついでにもひとつ) von 佐藤 春夫 (さとうはるお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 23.182 Zeichen · 48 Bildschirme
甲州からもって来たのかも知れない。植木屋は甲州の男だと云っているから」
そんなことを立話しているところで夢は覚めた。
わたくしは生前、先生から「雨瀟々」の特別本(これはわたくしが出版の緒をつけたので)をはじめ岩波本の「※(「さんずい+(壥-土へん-厂)」、第3水準1-87-25)東綺譚」同じものの私家版などそれぞれの署名本をはじめ父の「懐旧」に関する手紙など多くのかたみになるものを与えられて珍重していたのを、疎開の留守中にそっくり盗まれてしまって何一つ無くなった。盗んだ奴もほぼ見当はついているが、どうにもしょうがない。これを悲しんでいたら、偶然ならず故大鹿卓の未亡人がわたくしの意を察して、大鹿君が秘蔵していた吉井勇宛の先生の尺牘をかたみ分けとしてわたくしに贈られた。文は次のようである――
御手紙拝見致候 筆研益々御健勝の段抃喜の至に奉存候其後滅切老衰致し銀座へは久敷出掛不申葵老も此夏より糖尿病の由にて元気稍消沈の体に相見え候随て世間の噂も耳にする機会なく甚落莫たる生涯を送居候御申越の俳句何れも旧作に候得共至急の際故右にて御免被下度候
子を持たぬ身のつれつれや松の内