Japanische Klassiker mit Furigana
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たちあなひめ
たちあな姫
菊池 寛
Lesen Sie たちあな姫 (たちあなひめ) von 菊池 寛 (きくちかん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.540 Zeichen · 21 Bildschirme
私は、その日も何時もの通り不快なショックを受けながら、配達夫の入って来るのを待ちました。まだ若い配達夫は、表の戸をガタ/\開けたかと思うと、
「木村さん、電話郵便です。」と、云いながら赤い小さい紙片を差出しました。何だ! 電話郵便かと、私は何時も電話郵便の配達夫が、電報の声を僣するのを、不当に思いましたが、それでもそれが電報でなくて電話郵便であるのを知ると、心が急に落着くのを覚えました。一体誰から来た何の用だろうと思いながら私は、その電話郵便を急いで読みました。
『キフヨウアリ、スグデンワニカカレ。』と、ありまして、発信人の番号は新橋の五七〇番で、それは紛れもなく私の勤めて居る新聞社の編輯用の電話でした。私は『おやおや。』と思いました。久し振りにいゝ心持になって、早くから寝ようとして居る所を、引張り出されては堪らないと思いました。一層のこと、何処かへ外出して居たことにして、十時を過ぎてから電話をかけ、わざと急用の間に合わないことにしてやろうかと、思いましたが、まだ社に入って一年にもならない頃でしたから、そんな狡猾なことを、やる勇気はありません。其上、急用と云われて見ると、何だか気がかりなので、私は不承不承で電話をかけに外へ出ました。