Japanische Klassiker mit Furigana
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だいこん
だいこん
久生 十蘭
Lesen Sie だいこん von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 153.732 Zeichen · 303 Bildschirme
ママはあとでわかって、おやおや、ひどい方たちだわと苦笑していたが悧巧なママでも二人の正体は見ぬけなかった。
シゴイさんは従妹の山チイの愛情を兄妹の愛だと感ちがいしていたが、そうでないと気がつくと、脱兎のように前線へ逃げだしてしまい、どこでなにをしているのか、まるっきりわからなかった。
満寿子さんは〈シゴイさんはアンドレ・ワルテルなんだわ〉といっていた。小説では、ワルテルは友達がみな快楽に走るとき、田舎の修道院へ入って板の寝床に寝、高い書見台で、聖書や、ダンテや、スピノザなんかの禁欲主義者の本を読んでいたが、シゴイさんにとっては、国家は聖書で、飛行機はダンテやスピノザに相当するというわけだった。ただ一人のあの方に忠誠をつくすことはかねてシゴイさんの信仰だったので、この戦争がはじまると、女臭い愛情なんか相手にする気になれなくなってしまったのにちがいない。
日本の陸軍がシゴイさんのパパを受け入れていたら、シゴイさんは海軍へなんか入らなかったろうし、山チイの愛情も未完成のままで置きざりを食うようなこともなかった。山チイはでたらめなひとだったが、シゴイさんに逃げられると、ひとが変ったようになり、眼なんかぎょろぎょろさせてすごいようだった。