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Japanische Klassiker mit Furigana

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だいこん

だいこん

久生 十蘭

Lesen Sie だいこん von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 153.732 Zeichen · 303 Bildschirme

Aozora Bunko

ねばってようやく夜の十時になって放送した。陸軍の和平反対の空気は手のつけようのないところまで行っているらしいということだった。つまるところあたしたちは竃のそばに置かれたパン種のようなもので、いつ焼板へ投げつけられるか知れたもんじゃないけど、いまのところはちょっと保合っているらしい。

〈戦争の最中に、軍紀をゆるめて休息する“幕合い”の時間がある。おれにとっても、これはありがたいものだった〉とゲエテが「滞仏陣中記」でいっている。この一年間、だいこんは、スラックスのなかで汗をかいていたが、軍紀をゆるめて裾に風を入れる幕合いの時間があるのは、あたしにとってもありがたいものだった。

スラックスは丸めてベッドの下へおしこみ、英国皇帝戴冠式のときの花模様のあるオゥガンジの式服をひきずりだして着てみた。小さいときの服なので、スカート・ラインが膝のところまでとびあがっているが、そのかわりだいこんが夢のように涼しい。

エリザベト内親王のお散歩といった恰好で、裾をつまみながらナヨナヨと庭へ出てみたが、べつに変ったこともない。ぼんやりしていると、うしろで声がした。ふりかえって見るといつも陣地から水をもらいにくる、黄色くしなびた、貧乏な神学生のような若い兵隊さんが立っていた。