Japanische Klassiker mit Furigana
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だいこん
だいこん
久生 十蘭
Lesen Sie だいこん von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 153.732 Zeichen · 303 Bildschirme
さすがのあたしもすっかり照れて、頭を掻こうとしたひょうしにあぶなく胸壁から落っこちるところだった。
あたしがしょげているので気の毒になったのか、
「薄紗の朱鷺色の下着が、花弁のように四方へ垂れさがった中心から、薄卵色の靴下をはいた足が雄蕊のようにのびあがって、ちょうど大きな胡蝶蘭の花が咲きだしたようだったわ」
と満寿子さんが文学的になぐさめてくれたが、いちど受けた心の傷はとても文学なんかではなおせない。あきらめてだいこんと名乗ることにしたが、あの日の屈辱が和ぎえない劣敗感になって、いまでも心のどこかにしっかりとこびりついている。
あたしたちは欧州大戦が東部要塞線に膠づけになっている冬に日本へ帰ってきたが、ポテト一家の威勢はたいへんなもので、パパ薯はなにやら院の総裁、ママ薯は日本婦人会の名誉理事、娘薯は〈女子挺身隊員第一号〉で有名になった首相のみっともないお嬢さんの田園調布組と、桜会の平塚組と、錨会の逗子組をひとまとめにしてJBDM(ドイツ女子青年団日本支部)という意味不明瞭な団体をつくり、オット・ドッコイ独逸大使とウドノ・マカローニ伊太利大使のお嬢さんを顧問に推戴し、ドイツの〈女子指導団〉の制服にそっくりなカーキ色のスーツを着て、鼓笛行進なんかやって気勢をあげていた。