Japanische Klassiker mit Furigana
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しゅんきんしょう
ちくま日本文学014 谷崎潤一郎
谷崎 潤一郎
Lesen Sie ちくま日本文学014 谷崎潤一郎 (しゅんきんしょう) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 85.196 Zeichen · 169 Bildschirme
と云う―――あれに暗示を受けたせいか、最初にひと眼水の中に漬かっている赤い手を見た時から、妙にその娘が気に入ったんだ。それに、そう云えばそう、どこか面ざしが写真で見る母の顔に共通なところがある。育ちが育ちだから、女中タイプなのは仕方がないが、研きようによったらもっと母らしくなるかも知れない」
「なるほど、ではそれが君の初音の鼓か」
「ああ、そうなんだよ。―――どうだろう、君、僕はその娘を嫁に貰いたいと思うんだが、―――」
お和佐と云うのが、その娘の名であった。おえい婆さんの娘のおもとと云う人が市田なにがしと云う柏木附近の農家へ縁づいて、そこで生れた児なのである。が、生家の暮らし向きが思わしくないので、尋常小学を卒えてから五条の町へ下女奉公に出たりしていた。それが十七の歳に、実家の方が手が足りないので暇を貰って家に帰り、そののちずっと農事の助けをしているのだが、冬になると仕事がなくなるところから、昆布の家へ紙すきの手伝いにやらされる。ことしももうじき来るはずだけれど、多分まだ来ていないであろう。それよりも津村は、まずおりと伯母さんや由松夫婦に意中を打ち明けて、その結果によっては、至急に呼び寄せて貰うなり、訪ねて行くなりしようと思うと云うのである。