Japanische Klassiker mit Furigana
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しゅんきんしょう
ちくま日本文学014 谷崎潤一郎
谷崎 潤一郎
Lesen Sie ちくま日本文学014 谷崎潤一郎 (しゅんきんしょう) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 85.196 Zeichen · 169 Bildschirme
のであるされば自然と元の籠へ戻るようになる雲切りとは云うけれども雲を切って横に飛ぶのではない雲を切るように見えるのは雲の方が雲雀を掠めて飛ぶためである。淀屋橋筋の春琴の家の隣近所に家居する者はうららかな春の日に盲目の女師匠が物干台に立ち出でて雲雀を空に揚げているのを見かけることが珍しくなかった彼女の傍にはいつも佐助が侍り外に鳥籠の世話をする女中が一人附いていた女師匠が命ずると女中が籠の戸を開ける雲雀は嬉々としてツンツン啼きながら高く高く昇って行き姿を霞の中に没する女師匠は見えぬ眼を上げて鳥影を追いつつやがて雲の間から啼きしきる声が落ちて来るのを一心に聴き惚れている時には同好の人々がめいめい自慢の雲雀を持ち寄って競技に興じていることもある。そういう折に隣近所の人々も自分たちの家の物干に上って雲雀の声を聴かせてもらう中には雲雀よりも別嬪の女師匠の顔を見たがる手合もある町内の若い衆などは年中見馴れているはずだのに物好きな痴漢はいつの世にも絶えないもので雲雀の声が聞えるとそれ女師匠が拝めるぞとばかり急いで屋根へ上って行った