Japanische Klassiker mit Furigana
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しゅんきんしょう
ちくま日本文学014 谷崎潤一郎
谷崎 潤一郎
Lesen Sie ちくま日本文学014 谷崎潤一郎 (しゅんきんしょう) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 85.196 Zeichen · 169 Bildschirme
雲雀の外に第三世の天鼓を飼っていたのが春琴の死後も生きていたが佐助は長く悲しみを忘れず天鼓の啼く音を聞くごとに泣き暇があれば仏前に香を薫じてある時は琴をある時は三絃を取り春鶯囀を弾いた。それ緡蛮たる黄鳥は丘隅に止るとと云う文句で始まっているこの曲はけだし春琴の代表作で彼女が心魂を傾け尽したものであろう詞は短いが非常に複雑な手事が附いている春琴は天鼓の啼く音を聞きながらこの曲の構想を得たのである手事の旋律は鶯の凍れる涙今やとくらんと云う深山の雪の※けそめる春の始めから、水嵩の増した渓流のせせらぎ松籟の響き東風の訪れ野山の霞梅の薫り花の雲さまざまな景色へ人を誘い、谷から谷へ枝から枝へ飛び移って啼く鳥の心を隠約の裡に語っている生前彼女がこれを奏でると天鼓も嬉々として咽喉を鳴らし声を絞り絃の音色と技を競った。天鼓はこの曲を聞いて生れ故郷の渓谷を想い広々とした天地の陽光を慕ったのであろうが佐助は春鶯囀を弾きつつどこへ魂を馳せたであろう触覚の世界を媒介として観念の春琴を視詰めることに慣らされた彼は聴覚によってその欠陥を充たした