Japanische Klassiker mit Furigana
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ちょうとどとう
ちょうと怒濤
小川 未明
Lesen Sie ちょうと怒濤 (ちょうとどとう) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 4.746 Zeichen · 10 Bildschirme
そのとき、なんともいわれない、やさしいいい音色がきこえてきたのであります。ちょうは、かつて、こんないい音をきいたことがありませんでした。これはきっと、人間の中での、やさしい人間の住んでいるところだろうと、なんの考えもなく、そう思わずにはいられませんでした。
ちょうは、そのやさしい音色のする方へと、音をたどって降りてゆきました。そこは、ある大きな家の裏のところであって、いい音色は、へやの中からもれているのです。ちょうは、なにに止まったらいいかと、しばらく、この庭を見まわしました。その庭は広かったとはいえ、もっともっと広い野原から飛んできたちょうには、広いとは感じられなかったのです。
ちょうは、幾つかの鉢に、いろいろの花の咲いているのを見ました。これは、どれも、いままで見たことのないような、美しい花ばかりであります。ちょうは、いつか羽の青いこちょうの物語ったことなどを思い出しました。なかにも、ちょうは、黒い鉢に植わった、真紅なばらの花を見たときには、ほんとうに、びっくりしてしまいました。それで、たちまち、なんともいえない香気に恍惚となってしまって、ちょうは、あとさきの考えもなく、その真紅な花弁に吸いつけられたように、その上に降りて止まったのです。