Japanische Klassiker mit Furigana
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つぼみ
つぼみ
宮本 百合子
Lesen Sie つぼみ von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 21.918 Zeichen · 44 Bildschirme
私も笑いながらこんなことを云って手をひっぱってようやっと自分の部屋までつれて来た。本ばこで四方をとりまかれて古っくさい本のわきに目のさめるようなのがならんで居たり、文庫ん中から原稿紙がのぞいたりして居る部屋の様子を御仙さんは気をのまれたように立って見て居る。
そして、小さい声で、
「何故薬玉さげて御おきゃはらないの」
ってきいたんで、
「あなたさげていらっしゃるの?」
私はあべこべにききかえした。
「エ、母さんがやかましゅう云うてさげておきゃはるの、かおりをつめてなも」
御仙さんはこれだけ云ってまただまってしまった。二人は机の前にならんで坐って私の御秘蔵の本の差画や錦絵を見せた。ほそい細工もののような指さきでそれを一枚一枚まくって居る御仙さんはまるで人形のようなこのまんま年を取らせずに世間を知らせずにかざっておきたいほど美くしく見えて居た。私はそのうしろにならんだ、古い物語りやくさ草紙と一緒に毎日見て居たいほどに思われた。そしてかえってあんまりきのきかないものを沢山知らないで安心して居ると云う事がうれしかった。
私はなるたけわかりそうなはなしをえらんで自分からさきに口をきいた。