Japanische Klassiker mit Furigana
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とむらいきかんしゃ
とむらい機関車
大阪 圭吉
Lesen Sie とむらい機関車 (とむらいきかんしゃ) von 大阪 圭吉 (おおさかけいきち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 186.729 Zeichen · 371 Bildschirme
間もなく粘土がすっかり剥ぎ取られると、技師は閂を跳ね上げて、力まかせに鉄扉を引き開いた。異様な生温い風が闇の中から流れて来た。二人は薄暗い安全燈の光を差出すようにしながら、開放された発火坑に最初の足跡をしるして踏み込んだ。踏み込んですぐその場から安全燈を地上へ差しつけるようにしながら、峯吉の骨を探しはじめた。が、みるみる二人は、なんともかとも云いようのない恐怖に叩ッ込まれて行った。
峯吉の骨がない!
いくら探してもない。墨をかけられた古綿のように、焼け爛れた両側の炭壁は不規則な退却をして、鳥居形に組み支えられていた坑木は、醜く焼け朽ち、地面の上に、炭壁からにじみ出たコールタールまがいの瓦斯液が、処々異臭を発して溜っているだけで、歩けども進めども、峯吉の骨はおろか、白い骨粉ひとつさえない。二人はまるでものに憑かれたように、坑道の中をうろたえはじめた。が、やがて曲ったり脹れ浮いたりしていたレールが、急に飴のようにひねくれ曲って、焼け残った鶴嘴や炭車の車輪がはねとばされ、空気がまだ不気味な火照を保っている発火の中心、つまりその採炭場の終点まで来てもそれらしい影がみつからないと、いよいよ事態の容易ならざるに気づいたもののようにそのままその場に立竦んでしまった。