Japanische Klassiker mit Furigana
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「にんじん」とルナアルについて
「にんじん」とルナアルについて
岸田 国士
Lesen Sie 「にんじん」とルナアルについて von 岸田 国士 (きしだくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.055 Zeichen · 8 Bildschirme
彼の日記によると、この「にんじん」の内容がだいたい事実に基づいたものであることはわかるが、この作品を必ずしも彼の自伝の一部として見るのはあたらないと思う。
これは、あくまで小説として読むべきもの、「にんじん」なる少年も、その両親ルピック夫妻も、「にんじん」の姉も兄も、いずれも、それは、単なるモデルのある人物にすぎないのである。
ただ、少年「にんじん」だけは、作者の自画像としてみるのでなければ、この作品に登場する人物のうち、特にルピック夫人の戯画がなんとなく「つくりもの」のような気もするのであるが、この作品に問題があるとすればそこなのである。
ルナアルは、たしかに、この物語において自己告白もしていなければ、自己弁護もしていない。事件の軽妙な配列と、描写の客観性とによって、あくまでも感傷の跡を消し去っている。
母と子とがほとんど本能的に憎み合うという世にも不幸な運命、聞くだに慄然としないわけにいかぬ悲劇的境遇が、この作品において、一種素朴な家族風景となり、時には清澄な牧歌の趣を呈するわけは、作者ルナアルの感傷がまったく影をとどめず、むしろその高度なヒュマニズムが、愛憎の心理の機微を公平に捉え、人生の風波に雄々しく耐えて、いっさいをほろ苦い微笑でつつもうとしているからだと思う。