Japanische Klassiker mit Furigana
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ひどいけむり
ひどい煙
久生 十蘭
Lesen Sie ひどい煙 (ひどいけむり) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 9.064 Zeichen · 18 Bildschirme
奥山は、起きあがって、前から頭に斬りつけ、あとは次第もなく、めちゃめちゃに突刺し、二人で外記を斬り殺したということであった。
九月の二十六日、稲富、井上とも、世禄お取上げ、半十郎と喜三郎は士籍から削り、鍛冶師の扱いになる旨、達しがあった。
夕方、半十郎は仏間の片闇になったところに端坐して、父と稲富が、ああまで執念深く争いつづけたのは、どういうわけがあったのだろうと、考え耽っているとき、庭にむいた塀越しに棒火矢が飛びこんできた。その辺いちめんに、火玉をこぼしながら、むやみに煙硝の煙をたちあげるので、邸のなかは煙にとじられて、もののかたちも見えないようになった。
そのとき、塀の外から、
「喜三郎、お見舞い」
と呼びかける、野太い声が聞えた。
「半十郎、貴様とは、互いに敵になったぞ。おれは、これから西へ行くが、どこかの果てでめぐりあったら、五百目玉の抱え大砲で勝負をつけることにする。忘れるな」
半十郎は、なにをと叫び、床脇から鉄砲をとって戸外へ走りだしたが、ちまたには夕闇ばかりで、喜三郎のすがたは、もうなかった。