Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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びんのなかのせかい

びんの中の世界

小川 未明

Lesen Sie びんの中の世界 (びんのなかのせかい) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 4.126 Zeichen · 9 Bildschirme

Aozora Bunko

正坊のおじいさんは、有名な船乗りでした。年をとって、もはや、航海をすることができなくなってからは、家にいて、ぼんやりと若い時分のことなどをおもい出して、暮らしていられました。

おじいさんは、しまいには、もうろくをされたようです。すくなくも、みんなには、そう思われたのでした。なぜなら、海の中から拾ってきたような、朽ちかかった一枚の黒い板をたいせつにして、いつまでもそれを大事にして持っていられたからです。

また、おじいさんは、家の前に立って、あちらの山のいただきをながめながら、

「まだ、こないかいな。」といわれました。

みんなは、それを不思議に思ったのです。

「おじいさん、だれがくるのですか?」と、家の人が聞きますと、

「海から、私を迎えにこなければならぬはずじゃ。」と、おじいさんは、答えられました。

おじいさんが、とうとう亡くなられてしまってから、おばあさんは、正坊に、よくおじいさんの話をして聞かせました。

「おまえのおじいさんは、有名な船乗りだった。しかし、年を取られてから、もうろくをなさって、毎日、あちらの山の方を見て、海から、だれか呼びにくるはずじゃといっていられた……。