Japanische Klassiker mit Furigana
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おおさかのあさ
ふるさと文学館 第三三巻 【大阪II】
安西 冬衛
Lesen Sie ふるさと文学館 第三三巻 【大阪II】 (おおさかのあさ) von 安西 冬衛 (あんざいふゆえ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 905 Zeichen · 3 Bildschirme
大阪の朝
川に張り出した道頓堀の盛り場は、仇女の寝くたれ姿のように、たくましい家裏をまざまざと水鏡に照し出している。
太左衛門橋の袂。
舟料理の葭すだれは、まき上げられたままゆうべの歓楽の名残をとどめている。
宗右衛門町の脂粉の色を溶かしたのであろうか、水の上に臙脂を流す美しい朝焼けの空。
だが、宵っ張りの町々は目ぶた重く、まだ眼ざめてはいない。
「朝は宮、昼は料理屋、夜は茶屋……」という大阪の理想である生活与件。そのイの一番に大切な信心の木履の音もしない享楽の街の東雲。
瓦灯が淡くまたたいている。
私は、安井道頓の掘ったこの掘割に目をおとして、なんとなく、
――どおとん。
と、つぶやく。そしてフッと
――秋
というフランスの言葉を連想する。
左様、巴里の空の下をセーヌが流れるように、わが大阪の生活の中を道頓堀川が流れているのだ。
間もなく秋が来る。