Japanische Klassiker mit Furigana
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みちのく
みちのく
岡本 かの子
Lesen Sie みちのく von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.136 Zeichen · 13 Bildschirme
だが、もっと悲劇的な憂愁を湛えた人柄を想像していたのに、極めて快活で人には剽軽らしいところを見せ、出迎えの連中の中での花形になっていた。
私は河鹿の鳴く渓流に沿った町の入口の片側町を、この老婦人も共に二三人と自動車で乗り上げて行った。なるほど左手に裾野平が見え、Y山の崖の根ぶちに北海の浪がきらきら光っている。私は同席の人もあるので、どうかと思ったがお蘭老婦人のあまりに快濶な様子に安心して訊いてみた。
私がたずねようとした四郎という白痴の少年の名だけを聞き取った彼女はすぐこう言った。
「一時は四郎も死んだことにして思い諦めましたが、なにしろ自分より六つ七つ若いのですからまだ生きているかも知れません。もし四郎が帰って来たら労わって迎えてやる積りです。こう心を定めてから、気持はだいぶ楽になりました」
だから一時拵えた四郎の位牌も何もかも捨ててしまって、折につけ四郎の消息を探ることにしていると、お蘭老女は語った。
私は、不思議な人情を潜った老女の顔に影のように浮く薄白いような希望のいろを、しみじみと眺めた。そして一人の女性にこうまで深く染み通らせた白痴少年の一本気をも想ってみた。