Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
みちのく
みちのく
岡本 かの子
Lesen Sie みちのく von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.136 Zeichen · 13 Bildschirme
四郎はお蘭の傍にいるだけで満足した。お蘭の針仕事をしている傍に膝をゆるめて坐って、あどけないことを訊ねたり単純な遊びごとをしたりした。小春日和の暖かい日にはうとうと居眠りをした。ときに眼を覚まして、そこにお蘭のいるのを確めると、また安心して瞼をゆるめた。
お蘭は、世の中の雑音には極めて怖え易く唯一人、自分だけ静な安らかな瞳を見せる野禽のような四郎をいじらしく思った。彼女はこの人並でないものに何かと労りの心を配ってやった。それは母か姉のような気持だった。こうしているうちに一つの懸念がお蘭の心に浮んだ。あるとき彼女は四郎にこう訊いた。
「もし、あたしがお嫁に行くとき、四郎さはどうする」
四郎は躊躇なく答えた。
「おらも行くだ、一緒に」
お蘭は転げるように笑った。
「そんなこと出来ないわ。人を連れて嫁に行くなんて」
四郎には判らなかった。
「どうしてだ」
「お嫁に行くということは私が向うの人のものになってしまうのだから、その人が承知してくれないじゃ、一緒に行けないのよ」
「お蘭さが誰かのものになるというだかね」
「そうよ」
「ふーむ」
白痴の心にもお蘭が自分から失われ、自分は全く孤立無援で世の中に立つ侘しさがひしひしと感じられた。