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Japanische Klassiker mit Furigana

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めおとちょう

めおと蝶

山本 周五郎

Lesen Sie めおと蝶 (めおとちょう) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 23.977 Zeichen · 47 Bildschirme

Aozora Bunko

「あなた、うれしゅうございます」

信乃は叫ぶように云って、良人の胸へ縋りついた。良平は持っていた編笠を投げ、両手で妻の肩を抱いた。

「おまえがいてくれればおれは生きることができる、もう一度、……」

そして彼は激しく妻を抱き緊めた。

それからまもなく、旅支度に改めた良平と信乃が、畑に挾まれた道を、伴れだって、東に向って歩いていた。春の日はきらきらと暑いほど輝き、畑いちめんに咲いた菜の花の黄が、まるで燃えるようにうちわたして見えた。

「――甲之助は大丈夫だな」

「はい、すぎと母が見て呉れます、……わたくしたちがおちつきましたら、迎えにまいりましょう」

「――明るい、勿体ないほど、明るい景色だ」

「初めてでございますわね」

信乃はこう云って、媚のある笑いかたで良人を見あげた。

「あなたとわたくしと、二人で、こうしていっしょに、旅へ出ますのは、……うれしゅうございますわ」

菜畑からそれて来た蝶が二つ、良平と信乃のあとを追うように、楽しげにひらひらと舞っていった。