Japanische Klassiker mit Furigana
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めおとよろい
めおと鎧
山本 周五郎
Lesen Sie めおと鎧 (めおとよろい) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N1. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N1 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.130 Zeichen · 24 Bildschirme
――そうだったのか、ああそうだったのか、自分はただ仇討をしかけられるものとのみ思っていた。みれんだった、臆病ともいうべきだ。心さえきまっていたら、……やくめをはたしたあと、討たれてやる覚悟さえゆるがなかったら、二百余日も逃げ隠れる要はなかったのである、「来るべき合戦までは生きのびたい」そう思いはじめた心のゆらぎが、合戦にもおくれ妻に重傷を与える結果となったのだ。――武道の根本は死を怖れぬところにある。このわかりきった真理を、しかし孫兵衛はいま身をもって体験したのだ。
「屋代は命をとりとめたよ」弥五郎が囁くように云った。「貴公のことも伝えておいた、向う疵だといったらよろこんでいたよ」「……戦場をみせてくれ」孫兵衛は、妻をおもうことに堪えられなかった、それでわざと話題を転じた。弥五郎がよしと云って抱き起してくれた。
「よく見ろ、ここは桃配山の本陣つづきだ。むこうが関ヶ原、正面にあるのが天満山だ、貴公はあの森のわきのところから……」弥五郎が手をあげて説明するこえも、なかば耳にはいらなかった、孫兵衛はせきあげる涙をかくしながら呟いていた。――屋代、もうすぐ会うぞ。