Japanische Klassiker mit Furigana
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めくらぞうし
めくら草紙
Lesen Sie めくら草紙 (めくらぞうし) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.695 Zeichen · 14 Bildschirme
私はぐったりなって、籐椅子に寝ころび、マツ子を見た。マツ子は、鋏をにぎって立っていた。私を刺すつもりであったろうか。家人を刺すつもりであったろうか。私は、いつでも刺されていいのだから、見て見ぬふりをしていたが、家人は知らなかったようである。
マツ子のことについて、これ以上、書くのは、いやだ。書きたくないのだ。私はこの子をいのちかけて大切にして居る。
マツ子は、もう私の傍にいないのである。私が、家へ、かえしたのである。日が暮れたから。
夜が来た。私は眠らなければならないのだ。これでまる三日三晩、私はどのような手段をつくしても眠れず、そのくせ、眠たくて、終日うつらうつらしているのだ。このようなときには、私よりも、家人のほうが、まいってしまって、私のからだをお撫で下さい、きっと眠れると思います、と言って声たてて泣いたことがある。私は、それを、試みたが、だめであった。そのときの私の眼には、隣村の森ちかくの電燈の光が薊の花に似ていたのを記憶して居る。
私は、いま、眠らなければいけない。けれども、書きかけた創作を、結ばなければいけない。私は寝床の枕元に原稿用紙と BBB の鉛筆とを、そなえて寝た。