Japanische Klassiker mit Furigana
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ゆうれいかしや
ゆうれい貸屋
山本 周五郎
Lesen Sie ゆうれい貸屋 (ゆうれいかしや) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 21.320 Zeichen · 42 Bildschirme
それからようやく思いつき、久しくあけたことのない仏壇をあけた。中には父母の位牌がある、そのほか貧しいけれども仏具がひと揃い、めくら書きのハンニャ経などが埃にまみれている。埃を払うのは面倒くさい、彼は残っている小蝋燭をともした。線香のかけらに火をつけた。
「なにしろ死んだ者には、お経がなによりのくどくだてえからな、これならあいつも喜ぶだろう」
御存じがないかもしれない。めくら経文というのは判じ絵のようなもので、経文がみんな絵で画いてある。ハンニャハラミタ、これが絵解になっているので、――見本がないとおわかりがないかもしれないが、――仮名も読めない人に読むことができるわけだ。弥六は仏壇の前に坐って、亡くなった母親の読みぶりを思いだしながら、このめくら経をつかえつかえ読みだした。
怠け者の彼としては、よほどしんけんだったわけだが、ところでそれがいけない、全然いけないのである、自分では経文を読むつもりなのだが、口から出る言葉はまるで違う、お経文などとは縁もゆかりもない言葉が出てくる。
「――さまと寝る夜は、片手が邪魔よ」
こういうことになる。弥六はびっくりして、眼をこすって、咳をして続みなおす。