Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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わがまま

わがまま

伊藤 野枝

Lesen Sie わがまま von 伊藤 野枝 (いとうのえ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 8.570 Zeichen · 18 Bildschirme

Aozora Bunko

従姉のまき子は登志子がボンヤリ時間表を眺めているのを見ると浮々した声で聞いた。

「そうね。」

彼女は気乗りのしない返事をしてすぐそこに腰を下ろした。彼女はどうしてもまき子の声を聞くと彼女の父の傲然とわざとらしいすまし方をした姿を思い浮かべて嫌な感じを誘われた。ジッと腰かけている間登志子は、一昨夜新橋での苦しい別れを目前に持ってきて眺めていた。彼女はただもう、四五時間後のいやな心持を考えることの苦しさに堪えかねていろいろな一昨夜までに残してきた、東京での出来ごとを手探りよせて誤魔化していた。しかしその間にも小さな切れ切れな不快らしい事柄が目の前の光景をチョイチョイかげらせた。彼女は一生懸命にそれを避けようとした。今登志子の暗い心の上にいっぱいに拡がって彼女を覆っているのは、いつ遇うともしれない別れの最後の日に登志子に熱い、接吻と抱擁とを与えた男だった。登志子の頭にいっぱいに広がった男の顔は彼女の決心をすてさせた。ずるずるとこのいやな方へ引ずってきた。そのくせ、やはり自分の方へも引きずりそうにしている。登志子は新橋でここが最後の別れの場となるかもしれないと思ったときそこにたっている男の顔をこまかくふるえている胸を抱いてヂッと見た。