Japanische Klassiker mit Furigana
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わがまま
わがまま
伊藤 野枝
Lesen Sie わがまま von 伊藤 野枝 (いとうのえ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 8.570 Zeichen · 18 Bildschirme
何といわれても聞かれても彼女は黙っていた。
「今に――」と彼女はいつも思った。
「今に――自分で自分の生活が出来るようになれば私は黙ってやしない。私は大きな声で自分がいま黙って軽蔑している叔父等の生活を罵ってやる嘲笑ってやる。私は私で生活が出来るようになりさえすればあんな偽善はやらない。少なくともあんな卑劣な根性は自分は持ってはいない。――」
いつも彼女はこんな事ばかり考えていた。そうして叔父と声を大きくして争う日を待ちかまえていた。
いつ知らず――しかし登志子は叔父の狡滑な手にかかって尊い自己を彼の生活の犠牲に葬られさろうとしていた。
世の中は幼稚な単純な登志子の目に映りまた考える程正直なものでも真面目なものでもなかった。生活ということ――ことに実生活を豊かにする事のためには、悪がしこい叔父の智慧と敏捷な挙動は最大の利器であった。登志子は叔父のそれらの特点をよく知りそしてそれを厭いながら、知らぬ間に彼女自身もいつかその叔父の周到に届いた誤魔化しに乗せられてその利器に触れたのだ。
「何て馬鹿らしい事だろう? 私はまあ叔父等の安価な生活のたしにされたのだ――」