Japanische Klassiker mit Furigana
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わがまち
わが町
織田 作之助
Lesen Sie わが町 (わがまち) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 93.840 Zeichen · 186 Bildschirme
なにか芝居の書割りめいた風情があった。
こんなところに寺の裏門があったのかと、次郎がおどろいていると、君枝は、
「ちょっと……」
待っていてくれと言って、境内の隅の地蔵の前にしゃがんで、頭を下げ、そして、備え付けの杓子で水を掛けて、地蔵の足をたわしでしきりに洗い出した。
地蔵には浄行大菩薩という名がついているのを、ぼんやり眼に入れながら、
「お君ちゃん、えらい信心家やねんなあ。なんに効く地蔵さんやねん?」
傍で突っ立っている所在なさにきくと、君枝は、
「何にでも効くお地蔵さんや」
と、手と声に力を入れて、
「――かりに眼エが悪いとしたら、このお地蔵さんの眼エに水掛けて、洗(あろ)たら良うなるし、胸の悪い人やったら、胸の処(とこ)たわしで撫でたらよろしおますねん」
しきりに洗いながら、言った。
なるほどそう言えば、その地蔵は水垢で全身赤錆びて、眼鼻立ちなどそれと判別しかねるくらい擦り切れていて、胸のあたりの袈裟の模様も見えなくなってしまっている。随分繁昌している地蔵らしかった。
次郎はそんな迷信が阿呆らしく、それを信じているらしい君枝がかえって哀れにすら思われて、