Japanische Klassiker mit Furigana
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わがまち
わが町
織田 作之助
Lesen Sie わが町 (わがまち) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 93.840 Zeichen · 186 Bildschirme
「ほんまに効くのかなあ。僕はあやしいと思うよ」
ずけずけと言ったが、ふと君枝の洗っている部分が地蔵の足だと気がつくと、何か思い当り、
「他あやん、この頃足でもわるいのんとちがうの?」
と、訊いた。
「いいえ、わるいことはあれしまへんけど、お祖父ちゃんは足つかう商売やさかい、疲れが出んように思て……」
こうして願を掛けているのだと、君枝は一所懸命な手の動きでそれを示した。
次郎はいきなり胸うたれて、もう君枝の迷信を咎める気持を捨てた。
「お待遠(まっとう)さん」
立ち上った君枝の、いくらか上気して晴ればれとした顔を見ると、何故ともなしに次郎の心に急に大阪の郷愁がぐっと来て、その拍子に、河童路地での日々がなつかしく想い出された。
路地から見えるカンテキ横丁のしもた屋の二階で、夏の宵、「現われ出でたる武智光秀……」と一つ文句の浄瑠璃をくりかえしくりかえし稽古しているのを、父親が蝙蝠傘の骨を修繕しながら口真似していた――そんなことまで想い出されて、自安寺の表門を出ると、
「お君ちゃん、文楽でも見えへんか?」
と言った。
「そうでんなあ」
迷っていると、
「文楽見たことある? 僕も見たことないけど、久し振りに大阪へ来た序でにいっぺん大阪らしい味を味わうとこ思て」