Japanische Klassiker mit Furigana
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わがまち
わが町
織田 作之助
Lesen Sie わが町 (わがまち) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 93.840 Zeichen · 186 Bildschirme
明日の朝が見合いいうことに話つけて来たさかい、今晩ははよ寝ときなはれ」
「うち、いややわ」
君枝はもう半分泣きだしていた。
「なんぜ、いややねん? なんぞ不足があるのんか?」
「そらそやわ。そない藪から棒に見合いせえ言うたかて、何したはる人かわからへんし……」
「お前にはわからんでも、お祖父やんには判ってたらそいで良え。まさか、肥くみもしとれへんやろ?」
「写真もまだ見てへんし……」
「写真、写真て、写真がなにが良えのや。次郎ぼんに写真きちがいを仕込まれやがってエ……」
叱っているが、眼だけは和やかであった。
「――なんでも良え。とにかく見合いしなはれ」
「…………」
咽の涙を鹹(しお)からく、君枝はしょんぼり味わった。
「するか、せんか。どっちや。返辞せんかい! するか?」
君枝はうなずいた。
6
翌日はまるでわざとのように雨であった。
「なんの因果でまた、こんな雨の日に見合いせんならんねん」
君枝はしょんぼりして、この五日間祖父のいいつけを守って次郎に会わなかったことが後悔された。いや、中之島公園で会った翌日、勤めが済むと、早速約束して置いた場所へ出掛けたのだが、次郎は来なかったのだ。