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Japanische Klassiker mit Furigana

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わがまち

わが町

織田 作之助

Lesen Sie わが町 (わがまち) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 93.840 Zeichen · 186 Bildschirme

Aozora Bunko

医者はもう助からぬと言ったが、次郎と君枝の輸血が効いたのか、他吉はじりじりと生き延びた。

そんなねばり強さはどこから来たのだろうか。

執拗に保(も)って二月目のある日、〆団治が次郎の家で臥ている他吉を見舞いに来た。

ところが、〆団治はついぞ着ぬ洋服を着たのは良いとして、まだまだ寒さが去らぬのに、異様な半ズボンでぶるぶる震えていた。

「〆さん、頭のゼンマイ狂たんと違うか」

君枝はさすがに看病疲れもなく、こんな訊き方をすると、〆団治は、

「さにあらず。実はやな、わいも○○興業の落語の慰問隊たらいうもんに加わって、南方へ行くことになってん。南は暑いと聴いたさかい、今からこの服装や」

と、言い、水洟をすすりながら、

「わいの落語も南なら受けるやろ」

嬉しそうに言った。

「お前みたいな老いぼれのあんぽんたんでも、南方へ行けるのんか」

他吉は聴いて口惜しがり、

「――どうせマニラも陥落したこっちゃし、マニラへも行くんやろ。うまいことしやがんな」

「一足さきに、えらい済まんなあ」

「何がさきや。わいは飛行機で行くさかい、お前の乗ってる船追い抜いて、お前より早よ着くわい。マニラへ着いたら、他あやんが出迎えに来てへんか、眼のやにを拭いて、しっかり見んとあかんぜ。