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Japanische Klassiker mit Furigana

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わがまち

わが町

織田 作之助

Lesen Sie わが町 (わがまち) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 93.840 Zeichen · 186 Bildschirme

Aozora Bunko

鈴の音がしきりに揺れた。

「良えとこイ行きなはれや」

羅宇しかえ屋の婆さんは泣きながら、

「――寒い時に死んでも、他あやん、お前は今頃は暑い国でよう温(ぬく)もってるこっちゃろ」

と、言った。誰も笑わなかった。

鈴の音で寝かしてあった勉吉が眼を覚まし、泣きだした。

君枝は抱き上げて、

「船に積んだアら

どこまで行きゃアる

木津や難波の橋の下ア」

子供の頃、他吉が俥に乗せて、きかせてくれた子守歌を小声でうたっていると、ぽたぽた涙が落ちて来た。

「今晩は……」

女の声がした。遠慮がちに低めていたが、それでもきんきんとよく通る声だった。聴くなり蝶子だと判った。

「蝶子はんや」

君枝は涙を拭いて、

「――あんた、蝶子はん来てくれはりましたぜ」

と、次郎に言った。

「そうか」

次郎はかつて、「蝶柳」で遊んで蝶子や柳吉に意見された時のことをちょっと思いだした咄嗟に、

「そうだ、マニラへ行こう」

声に出して呟いた。

「――君枝ももちろん一しょに行くやろ」

蝶子はおくやみが済むと、居合わした人へ遠慮しながら、

「ちょっと……」

と、言って、君枝に眼交した。

君枝は二階へ上った。蝶子は随いて上って来て、