Japanische Klassiker mit Furigana
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わがまち
わが町
織田 作之助
Lesen Sie わが町 (わがまち) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 93.840 Zeichen · 186 Bildschirme
俥のうしろから走るのんが辛い言うて泣けへんか」
そして、客を拾って、他吉が走りだすと君枝はよちよち随いて来た。
他吉は振りかえり、しばしば提灯の火を見るのだと立ち停って、君枝の足を待ってやるのだった。
客が同情して、この隅へ乗せてやれと言うのを、他吉は断り、いえ、こうして随いて来さす方が、あの子の身のためだ、子供の時苦労させて置けば、あとで役に立つこともあろうという理窟が――、けれど他吉は巧く言えなんだ。
よしんば、言えたにしても、――半分は不憫さからこうしているのだ、ひとりで置いといて寂しがらせるのが可哀想だから連れて走っているのだ、いや、マニラで死んだこの子の父親がいまこの子と一しょに走っているのだという気持が、客に通じたかどうか、――客を乗せたあとの俥へ君枝を乗せて帰る途、他吉はこんな意味のことを、くどくど君枝に語って聴かせたが、ふと振り向くと、君枝は俥の上で鼾を立てていた。
「船に積んだアら
どこまで行きゃアる
木津や難波の橋の下ア…………」
他吉は子守歌をうたい、そして狭い路地をすれすれにひいてはいると、水道場に鈍い裸電燈がともっていて、水滴がポトリポトリ、それがにわかに夜更めいて、間もなく夜店だしがいつものように背中をまるめて黙々と帰って来る時分だろうか、ひとり者の〆団治がこそこそ夜食をたべている