Japanische Klassiker mit Furigana
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アド・バルーン
アド・バルーン
織田 作之助
Lesen Sie アド・バルーン von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 27.390 Zeichen · 53 Bildschirme
里子の時分、転々と移っていたことに似ているわけだったが、しかしさすがの父も昔のことはもう忘れていたのか、そんな私を簡単に不良扱いにして勘当してしまいました。しかし勘当されたとなると、もうどこも雇ってくれるところはなし、といって働かねば食えず、二十五歳の秋には、あんなに憧れていた夜店で季節外れの扇子を売っている自分を見出さねばならなかったとは、何という皮肉でしょう。「自分を見出す」などという言い方は、たぶん講義録で少しは横文字をかじった影響でしょうが、その講義録にしたところで、最初の三月分だけ無我夢中で読んだだけ、あとはもう金も払いこまず、したがって送ってもこなかった。が、私はえらくなろうという野心――野心といったのは、つまりえらくなって文子と結婚したいという望み――だけは、やはり捨てなかったのです。
ところが、その年の冬、詳しくいうと十一月の十日に御即位の御大礼が挙げられて、大阪の町々は夜ごと四ツ竹を持った踊りの群がくりだすという騒ぎ、町の景気も浮ついていたので、こんな日は夜店出しの書入れ時だと季節はずれの扇子に代った昭和四年度の暦や日めくりの店を谷町九丁目の夜店で張っていると、そんなところへも色町からくりだした踊りの群が流れこんできて、エライコッチャエライコッチャと雑鬧を踊りの群が入り乱れているうちに