Japanische Klassiker mit Furigana
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「インガ」
「インガ」
宮本 百合子
Lesen Sie 「インガ」 von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.443 Zeichen · 29 Bildschirme
最後に一かたまり、賑やかに何か喋りながら入って来た連中を見ると、おや、そこで中心をなしているのは、ほかならぬグラフィーラではないか。
これが、あの無智なグラフィーラ、自殺しそこなったグラフィーラであろうか。
今の彼女は十も若がえったようだ。みんなと同じ仕事着を着て頭をきっちり赤い布でしばって、穿いている黒靴こそ、醋酸をのんで倒れたとき、穿いていたままだが、顔つきと云い歩きっぷりと云い、これは別人だ。
しかも、何だか他の若い労働婦人たちより一層確りしたようなところがある。
「さ、グラーシャ、代表員は真前へ坐るもんだよ!」
はにかんで奥へひっこむグラフィーラの手をひっぱって、仲間が、床几の最前列へ彼女を坐らせようとしている。グラーシャは、今は、快活な一人の婦人労働者であるばかりではない、代表員である。
だが、あの引こんで赤坊と台所だけに命をささげていたグラフィーラ。ドミトリーがすてた、おくれた女房の彼女は、どうしてこんな変りかたをしたのだろう。
そのことについてグラフィーラは、胡麻塩頭のソモフを忘れることは出来ない。あの晩、熱にうかされ、半分うわごとのようにドミトリーの名を呼んでいる彼女のわきに坐って、やさしく鼓舞してくれたのは、組織の古い働きてのソモフだった。