Japanische Klassiker mit Furigana
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オランウータン
オランウータン
豊島 与志雄
Lesen Sie オランウータン von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.947 Zeichen · 14 Bildschirme
私はそれにとびついて、更に足でもつかまって、四肢でぶら下りながら、ううう……と揺りはじめた。
息切れがして、顔が熱くなった。
飛びおりると、小野は呆気にとられてつっ立っていた。
「オランウータンだ。」
じっと見つめた時、小野はふいに、顔色を変えた。一瞬、それが長い時間のようで、私たちは眼を見合っていた。小野は一歩よけて、私の肩を捉えた。
「しっかりしろよ。」
そして私に手を添えて、席につかしてくれた時、私は感じた、私が内心に或る自暴自棄な想念を懐いていて、自殺とか犯罪とかの芽をはぐくんでるんだと、小野が思ったことを。その感じは私を小野から引離し、そして私は小野のことを、愚劣な低俗な奴だと思ったのである。
「オランウータンだ。」
こんどは、皮肉な落着いた調子で、私はくりかえした。
小野は眼をしばたたいた。日焼けのした、そして恐らく潮風にも曝されたらしいその顔は、皮膚が厚く強いが、或る窶れと衰えとを底に見せていた。学生時代の敏活な血液と筋肉とはもうなかった。その代りに、感覚の鈍い貪婪な食欲を、私は驚嘆させられることになった。なお二三ヶ所、私たちは食い且つ飲んで歩いた。