Japanische Klassiker mit Furigana
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オンチ
オンチ
夢野 久作
Lesen Sie オンチ von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 20.673 Zeichen · 42 Bildschirme
「十二万円……何が十二万円だい」
「……………」
「十二万円儲かる話でもあるのかい」
戸塚は唖然となったらしい。狭いデッキの上で、すこし中野学士から離れた。
「……呆れたね……」
「そんな話は知らないよ僕は……夢を見ているんじゃないか君は……」
戸塚の眼が眼鏡の下でキラリと光った。菜葉服の腕をマクリ上げかけたが又、思い直したらしく、鳥打帽を脱いで頭を下げた。
「……イヤ……中野さん。決して無理は云いません。四半分でいいんで……ねえ。それ位の事はわかってくれてもいいでしょう。貴方は大学を一番で出た優等生だ。これからの出世は望み次第だ。第一頭がいいからね。西村さんを殺った腕前なんざ凄いもんだぜ」
中野学士の眼鏡が反撃するようにピカリと赤く光った。
「……失敬な……失敬な事を云うな。西村を殺ったのは貴様か、三好と二人の中の一人だろう」
戸塚は冷然と笑った。
「ヘヘヘ。その証拠は……」
「九月の末に、お前と三好と俺とでテニスを遣った事があるだろう」
「ありましたよ。三好が、あっしに勧めて貴方にお弟子入りをしようじゃないかと云い出したんです。三好が、一番下手なんで、貴方が三好ばかりガミガミ云ったもんだから、あれっきり来なくなっちゃったんですが……」