Japanische Klassiker mit Furigana
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カインのまつえい
カインの末裔 クララの出家
有島 武郎
Lesen Sie カインの末裔 クララの出家 (カインのまつえい) von 有島 武郎 (ありしまたけお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 45.864 Zeichen · 93 Bildschirme
妻は良人の心持ちが分るとまた長い苦しい漂浪の生活を思いやっておろおろと泣かんばかりになったが、夫の荒立った気分を怖れて涙を飲みこみ飲みこみした。仁右衛門は小屋の真中に突立って隅から隅まで目測でもするように見廻した。二人は黙ったままでつまごをはいた。妻が風呂敷を被って荷を背負うと仁右衛門は後ろから助け起してやった。妻はとうとう身を震わして泣き出した。意外にも仁右衛門は叱りつけなかった。そして自分は大きな荷を軽々と背負い上げてその上に馬の皮を乗せた。二人は言い合せたようにもう一度小屋を見廻した。
小屋の戸を開けると顔向けも出来ないほど雪が吹き込んだ。荷を背負って重くなった二人の体はまだ堅くならない白い泥の中に腰のあたりまで埋まった。
仁右衛門は一旦戸外に出てから待てといって引返して来た。荷物を背負ったままで、彼れは藁繩の片っ方の端を囲炉裡にくべ、もう一つの端を壁際にもって行ってその上に細く刻んだ馬糧の藁をふりかけた。
天も地も一つになった。颯と風が吹きおろしたと思うと、積雪は自分の方から舞い上るように舞上った。それが横なぐりに靡いて矢よりも早く空を飛んだ。