Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ひきょうもの

カインの末裔

有島 武郎

Lesen Sie カインの末裔 (ひきょうもの) von 有島 武郎 (ありしまたけお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 25.876 Zeichen · 52 Bildschirme

Aozora Bunko

三十にもなろうとする息子をつかまえて、自分がこれまでに払ってきた苦労を事新しく言って聞かせるのも大人気ないが、そうかといって、農場に対する息子の熱意が憐れなほど燃えていないばかりでなく、自分に対する感恩の気持ちも格別動いているらしくも見えないその苦々しさで、父は老年にともすると付きまつわるはかなさと不満とに悩んでいるのだ。そして何事もずばずばとは言い切らないで、じっとひとりで胸の中に湛えているような性情にある憐れみさえを感じているのだ。彼はそうした気持ちが父から直接に彼の心の中に流れこむのを覚えた。彼ももどかしく不愉快だった。しかし父と彼との間隔があまりに隔たりすぎてしまったのを思うと、むやみなことは言いたくなかった。それは結局二人の間を彌縫ができないほど離してしまうだけのものだったから。そしてこの老年の父をそれほどの目に遇わせても平気でいられるだけの自信がまだ彼のほうにもできてはいなかった。だから本当をいうと、彼は誰に不愉快を感じるよりも、彼自身にそれを感じねばならなかったのだ。そしてそれがますます彼を引込み思案の、何事にも興味を感ぜぬらしく見える男にしてしまったのだ。