Japanische Klassiker mit Furigana
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ひきょうもの
カインの末裔
有島 武郎
Lesen Sie カインの末裔 (ひきょうもの) von 有島 武郎 (ありしまたけお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 25.876 Zeichen · 52 Bildschirme
さきほどまで少しも物にこだわらないで、自由に話の舵を引いていた矢部がいちばん小むずかしい顔になっていた。彼の来るのを待って箸を取らないのだと思ったのは間違いらしかった。
矢部は彼が部屋にはいって来るのを見ると、よけい顔色を険しくした。そしてとうとうたまりかねたようにその眇眼で父をにらむようにしながら、
「せっかくのおすすめではございますが、私は矢張り御馳走にはならずに発って札幌に帰るといたします。なに、あなた一晩先に帰っていませば一晩だけよけい仕事ができるというものでございますから……私は御覧のとおりの青造ではございますが、幼少から商売のほうではずいぶんたたきつけられたもんで……しかし今夜ほどあらぬお疑いを被って男を下げたことは前後にございますまいよ。とにかく商売だって商売道と申します。不束ながらそれだけの道は尽くしたつもりでございますが、それを信じていただけなければお話には継ぎ穂の出ようがありませんです。……じゃ早田君、君のことは十分申し上げておいたから、これからこちらの人になって一つ堅固にやってあげてくださいまし。……私はこれで失礼いたします」