Japanische Klassiker mit Furigana
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ひきょうもの
カインの末裔
有島 武郎
Lesen Sie カインの末裔 (ひきょうもの) von 有島 武郎 (ありしまたけお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 25.876 Zeichen · 52 Bildschirme
その時には近所合壁から大人までが飛び出して来て、あきれた顔をして配達車とその憐な子供とを見比べていたけれども、誰一人として事件の善後を考えてやろうとするものはないらしく、かかわり合いになるのをめんどうくさがっているように見えた。そのていたらくを見せつけられると彼はますます焦立った。いきなり飛びこんで行って、そこにいる人間どもを手あたりしだいになぐりつけて、あっけにとられている大人子供を尻眼にかけながら、
「馬鹿野郎! 手前たちは木偶の棒だ。卑怯者だ。この子供がたとえばふだんいたずらをするからといって、今もいたずらをしたとでも思っているのか。こんないたずらがこの子にできるかできないか、考えてもみろ。可哀そうに。はずみから出たあやまちなんだ。俺はさっきから一伍一什をここでちゃんと見ていたんだぞ。べらぼうめ! 配達屋を呼んで来い」
と存分に痰呵を切ってやりたかった。彼はいじいじしながら、もう飛び出そうかもう飛び出そうかと二の腕をふるわせながら青くなって突っ立っていた。
「えい、退きねえ」
といって、内職に配達をやっている書生とも思わしくない、純粋の労働者肌の男が……配達夫が、二、三人の子供を突き転ばすようにして人ごみの中に割りこんで来た。