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Japanische Klassiker mit Furigana

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カーライルはくぶつかん

カーライル博物館

夏目 漱石

Lesen Sie カーライル博物館 (カーライルはくぶつかん) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.821 Zeichen · 14 Bildschirme

Aozora Bunko

公園の片隅に通りがかりの人を相手に演説をしている者がある。向うから来た釜形の尖った帽子を被ずいて古ぼけた外套を猫背に着た爺さんがそこへ歩みを佇めて演説者を見る。演説者はぴたりと演説をやめてつかつかとこの村夫子のたたずめる前に出て来る。二人の視線がひたと行き当る。演説者は濁りたる田舎調子にて御前はカーライルじゃないかと問う。いかにもわしはカーライルじゃと村夫子が答える。チェルシーの哲人と人が言囃すのは御前の事かと問う。なるほど世間ではわしの事をチェルシーの哲人と云うようじゃ。セージと云うは鳥の名だに、人間のセージとは珍らしいなと演説者はからからと笑う。村夫子はなるほど猫も杓子も同じ人間じゃのにことさらに哲人などと異名をつけるのは、あれは鳥じゃと渾名すると同じようなものだのう。人間はやはり当り前の人間で善かりそうなものだのに。と答えてこれもからからと笑う。

余は晩餐前に公園を散歩するたびに川縁の椅子に腰を卸して向側を眺める。倫敦に固有なる濃霧はことに岸辺に多い。余が桜の杖に頤を支えて真正面を見ていると、遥かに対岸の往来を這い廻る霧の影は次第に濃くなって五階立の町続きの下からぜんぜんこの揺曳くものの裏に薄れ去って来る。