Japanische Klassiker mit Furigana
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キャラコさん
キャラコさん
久生 十蘭
Lesen Sie キャラコさん von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 28.043 Zeichen · 56 Bildschirme
キャラコさんは、心のうちで詫びた。
「マキちゃん、ゆるして、ちょうだい」
それにしても、秋作氏は槇子のこの美しい心根を知っているかしら。
夜の十時ごろになって、秋作さんが飛んで来た。
槇子が溺れかけたことより、自分の部屋の扉の下にすべり込ませてあったものを見て、驚いて飛んで来たのである。それは、西洋封筒に入れた一枚の紅葉で、封筒の表にはきれいな字で日附が書いてあった。秋作氏と二人きりで高尾山へ行った日の日附である。
『社交室』では、また新しい話題でわきかえっていた。
ワニ君連を代表して、花束を持ってお見舞いに来たアシ君が、槇子の(秋作さん、秋作さん)を聞いてしまって、これを『社交室』へ急報した。
ポン君が、いった。
「おかしいと思ったよ。いくら槇子が気紛れだって、あんな時化にボートを漕ぎ出すなんてのは、ちとムイミだからな。秋作さんへの心中立てに、初めから自殺するつもりだったんだ」
「なるほど、そういうわけか」
と、ワニ君がためいきをついた。
「どうも、時世が変って来たな」
ところへ、ホテルの支配人がやって来て、山本氏に召集状が来、明朝応召されるので、山田氏の発起でホテルと共同の歓送晩餐会を催すことになったから奮ってご出席願いたいといった。