Japanische Klassiker mit Furigana
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キャラコさん
キャラコさん
久生 十蘭
Lesen Sie キャラコさん von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 21.236 Zeichen · 43 Bildschirme
……あたしが、こんなに気をつかってあげるのは、女のよしみだけですることなのよ。親切だなんて思いちがいしないようにして、ちょうだい」
それにしても、わけのわからないことばかりいう。キャラコさんは返事のしようもなくておし黙っていると、茜さんは、唇のはしに皺をよせてジロジロとキャラコさんを見おろしながら、だしぬけに、
「キャラコなんて、ずいぶんトンチキな名ね。ひとを喰ってるわ」
と、切って放すように、いった。すこし無礼だと思ったが、キャラコさんは、笑いながら素直にうなずいた。
「そうね」
「それ、あなたの本当の名?」
キャラコさんは、うちあけた話をする。
「いいえ、綽名なのよ……あたし、いつもキャラコの下着を着ているでしょう。だもんだから……」
「本当の名は、なんというの? 宿帳には、沼間槇子となっていますわね。あれがそうなの?」
「いいえ、あれは従姉の名よ」
「じゃ、あんたの名は?」
キャラコさんは、まっすぐに茜さんの顔を見つめながら、こたえる。
「それは、いえないことになっていますの」
ふうん、と鼻を鳴らしてから、
「じゃ、あんたのお父さまは、何をなさる方?」
キャラコさんが、首をふる。