Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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キャラコさん

キャラコさん

久生 十蘭

Lesen Sie キャラコさん von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 26.767 Zeichen · 54 Bildschirme

Aozora Bunko

キャラコさんは、それを見るといっさんに谷底へ駆けおりる。……。

鋒杉の稜線のうえに、まっ青な空がひろがり、それを突きさすように高く伸びあがった檣の頂きで、虹色の旗がヒラヒラと風にひるがえっている。

あの次の朝、キャラコさんが食料をさがしに裏の崖へのぼって行ったとき、この檣を発見した。むかし、なにに使ったものか、崖のギリギリのところに、ちょうどナポリの笠松のようなようすで、すっくりと立っている。キャラコさんは、ふと思いついて、それに、虹色のマフラーを旗のように揚げた。

これは、なにによる感情なのかじぶんでもわからなかった。ただ、高いところでひるがえる旗のようなものがほしかったのである。

家政的なことでは、あまり、感心したような顔をしない四人の科学者たちも、キャラコさんのこの思いつきには、心から賛同した。原田氏が、いった。

「すこし参りかけたとき、谷底から小屋の旗を見あげると、ふしぎに元気が出てくる」

キャラコさんの頭のうえで、その虹色の旗が、この小屋の五人の希望の象徴のように、力強い音をたててハタハタとひるがえっている。

もう、正午ちかいのに、なかなか合図がない。