Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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キャラコさん

キャラコさん

久生 十蘭

Lesen Sie キャラコさん von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 26.767 Zeichen · 54 Bildschirme

Aozora Bunko

キャラコさんは、檣の下まで行って、額に手をかざして谷底をのぞき込む。

渓流にそった広い河原は、陽の光でいちめんに白くかがやき、その白光のなかで、四人が崖を削ったり、石をくだいたり、めざましく働いているのが蟻のように小さく見える。槌で石をうつ音が、いくつもいくつも山彦をかえしながら気持よく響いてくる。

カチン、カチンという音は、いつまでたってもなかなかやみそうもない。腕時計を見ると、もう一時近くになっている。

キャラコさんは、そろそろ心配になってくる。

「また、ひるご飯を忘れそうだわ」

大きな声で、おうい、と叫びたくなるのをいっしんにがまんする。

四人は、ひと区切りがつくまで仕事をやめない。それを中断されるとあまり機嫌がよくない。キャラコさんはそれを知っているので、決して邪魔をしないようにしている。

キャラコさんは、矢車草の花の中へ坐って、しんぼうづよく、いつまでも待っている。

ようやく、槌の音がやむ。谷底から、おーい、という声がきこえる。谷底をのぞきこんで見ると、四人が崖の上をふりあおぎながら手をあげて叫んでいる。キャラコさんは、勢いこんで、いっさんに崖道を駆けくだる。