Japanische Klassiker mit Furigana
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キャラコさん
キャラコさん
久生 十蘭
Lesen Sie キャラコさん von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 32.972 Zeichen · 66 Bildschirme
身振りや、言葉のちょっとしたいい廻しのなかに、相手をどきっとさせるような、大胆な、人ずれのした調子があった。いつもものうそうにして、しょっちゅう遅刻したり休んだりした。礼奴さんには女学校でやっているようなことは、つまらなくてやり切れないのらしかった。
「退屈で死にそうだわ。女学校の教師なんてみな馬鹿ばかりね」
などといったりした。
二年の進級試験が終わった朝、礼奴さんが校庭の入口でキャラコさんを呼びとめて、
「あたし、カナダの叔父にひきとられることになったのよ。あなたとも、これでお別れだわ」
と、いつになくしみじみとした調子で、いった。
一年ほど経ってから、礼奴さんがカナダのヴァンクゥヴァから短い便りをよこした。
アマンドさんという、たいへんなお金持ちの叔父さんの邸でぜいたくに暮らしていることや、カナダに籍が移ってレエヌという名になったことや、アマンドさんの息子のピエールさんと婚約したなどということを、誇らしい調子で書いてあった。
快遊船の甲板で初めてレエヌさんを見たとき、それがむかしの礼奴さんだとは、どうしても思われなかった。髪を大人っぽくカアルし、きっちりとコルセットをつけ、言葉つきもそぶりもすっかりフランスのお嬢さんになり切っていて、日本に住んでいたようなようすはどこにも残っていなかった。