Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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キャラコさん

キャラコさん

久生 十蘭

Lesen Sie キャラコさん von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 32.972 Zeichen · 66 Bildschirme

Aozora Bunko

近眼鏡を光らせながら、おおまじめな顔でやりだす。

ピエロオさん、

ペンを貸しておくれ。

月の光で

ひと筆書くんだ……

次々に立って、珍妙な歌をとほうもない大きな声で唄う。ひとりすむたびに、われかえるような爆笑が起こる。

そんな大騒ぎの最中、とつぜん、扉があく。

レエヌさんが、炎色の、放図もなく裾のひろがった翼裾のソワレを着て、孔雀が燃えあがったようになってはいって来た。

「たいへんな、ばか騒ぎね」

小さな頭をそびやかして、入口に近い椅子に掛け、青磁のようなかたい蒼い眼で、おびやかすようにみなの顔を見まわす。

イヴォンヌさんが、キャラコさんのほうを向いて、ちょっと、片眼をつぶって見せる。

「……あれ、ピゲェの一九三八年の変り型よ。去年の(ヴォーグ)にのってたわ」

キャラコさんも、見て知っている。たいへんだなア、と思って恐縮する。でも、きこえてはたいへんだから、あたりさわりのない返事をしておく。

「みごとね」

ピエールさんは、困ったような顔でそのそばへ行って、もう、頭痛はなおったのかと、たずねる。

レエヌさんが、突んぬけるような声で叫びだした。

「うるさくて、寝ていられません」