Japanische Klassiker mit Furigana
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キャラコさん
キャラコさん
久生 十蘭
Lesen Sie キャラコさん von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 32.972 Zeichen · 66 Bildschirme
……そういう事実が、われわれの耳へ届いたのは、つい二年前のことですが、父にすれば、何といったって弟の子供ですから、そんなふうに放って置くわけには行かないので、人をやって無理にレエヌをカナダへ引きとったのです。兄の保羅のほうは、母親をひとり残して置けないといって、どうしても日本を離れませんでした」
「それで、レエヌさんのお母さまはどうなすったの」
「間もなく病気で亡くなりました」
「レエヌさんは、孤児になってしまったわけね」
「しかし、そのかわり、カナダへ国籍が移されて、叔父や叔母や養父や義妹や、……それから、許婚者までできたのです。しいていえば、礼儀正しい、清潔な環境と、どんなにぜいたくをしてもいいほどの財産とね。あのまま日本にいたら、レエヌはもっと不幸になっていたでしょう」
(ピエールさんの独断には、なかにすこし喰いちがいがある)
しかし、そうはいわなかった。
「そうかも知れませんね」
ピエールさんは、むかしのことを思いかえすような深い眼つきをしながら、
「レエヌが日本からやって来て、とつぜん、われわれの前へ現われたときは、ほんとうに、美しかった。まるで、生きた日本人形のようでしたよ。