Japanische Klassiker mit Furigana
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キャラコさん
キャラコさん
久生 十蘭
Lesen Sie キャラコさん von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 32.972 Zeichen · 66 Bildschirme
枕の下から一通の角封筒をとりだすと、それを頭の上に振って見せた。
「ほら、ほら、これが、そうなの」
キャラコさんの肚の底から、生理的不快に似たものがこみあげて来た。
レエヌは、調子をはずした陽気な声で、
「……あたし、むかしからあなたを嫌いだったのよ。どこもここも模範だらけのあなたが憎らしくてしようがなかったの。いつか、やっつけてやろうと思って隙をねらっていたんだ。……ねえ、キャラコさん、あなたのように、お腹の中にいるときから、幸福づくめのひともあるし、あたしたちのように、泥の中をはいずり廻っているような、こんなみじめな兄妹もあります。それに、こんどは、たいへんな財産を相続なすったそうで、お目出とう。……どこまでうまくゆくか知れないわね。……それで、すこしお裾わけしていただこうと思って考え出したことなの。……あたしたちのような憐れな兄妹の思いつきそうなことでしょう」
キャラコさんが、しずかに訊きかえした。
「もし、あたしが、いやだといったら?」
レエヌは枕をつかんで、キャラコさんのほうへ、不気味に身体を乗り出すと、
「ねえ、キャラコさん。あなた、さっき門をあけた爺を見た? ……あいつ、いま天然痘にかかっているのよ。