Japanische Klassiker mit Furigana
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キャラコさん
キャラコさん
久生 十蘭
Lesen Sie キャラコさん von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.122 Zeichen · 29 Bildschirme
キッと口を結んで、穴のあかんばかり、まっすぐに海を瞶めたまま、えらい混雑の中を神憑りのような足どりで波打ち際まで行進する。
そこで、お次ぎは団体精神の発動にうつる。
敵軍はいないか。向ってくるやつはいないか。広い渚をゆっくりと眺めわたす。あまり、平和な眼付きではない。
陽気なピロちゃんは、すこし注意散漫の傾向がある。ほかの三人が熱心に団体精神の予備行動を始めているのに、ピロちゃんだけは、ぼんやり沖のほうを眺めながら、こんなふうにつぶやく。
「あら、また、あのヨットがいるわ」
鮎子さんが、釣り込まれる。
「ほんとだ。どうして、毎朝おなじところにじっとしているんだろう、妙だな」
トクさんが、かんたんに片付ける。
「釣りでもしてるのさ」
鮎子さんが、ふうん、と鼻を鳴らす。
「へえ、あんな沖で釣りをするのかい? あそこは海流からはずれているから、魚なんかいるはずはないんだ」
ピロちゃんが、同意した。
「あたしもそう思う。魚なんか釣ってるんじゃないわ」
トクさんが、ききかえす。
「じゃ、何してるの?」
鮎子さんが、口を尖らす。
「何をしてるかわからないから、それで妙だというんじゃないか」